釧路川イトウ復活事業                                              Wild taimen revival in Kushiro River

 

海道東部を代表する大河・釧路川流域には日本国内最大の淡水魚イトウが現在も生息しています。過去には十勝川では全長2メートルを超える巨大イトウが獲れたという記録もあります。北海道だけではなく、日本全国の多くの釣り人にとっても大型のイトウは憧れの魚と言えます。

 

人気漫画「釣りキチ三平」のイトウ釣り編ではイトウの宝庫として描かれた釧路川ですが、

1950年代には釧路川流域内の30近くの支流で産卵していましたが、現在は4か所の支流でしか、産卵が確認できない状況にまで減少してしまっています。

 

河川生態系の食物連鎖の頂点に位置するイトウは豊かな河川環境の象徴と言えます。

私たちはこのイトウをかつての宝庫といわれた資源状況にまで復活させることを目標に活動しています。

 

イトウ親魚 

釧路川水系の産卵河川に遡上したイトウのオス(全長約90センチ)


 

釧路川水系のイトウ産卵河川

 


釧路湿原を流れる釧路川。広大なイトウ親魚の生息地(湿原)があるが、上流域の産卵環境が悪化している。

 

 

 


釧路川イトウ産卵環境の復元(2018-)

路川流域には1980年代に行政によって設置された多くの人工の落差構造物群が存在します。専門家の調査により、これらが絶滅危惧種のイトウや水産重要種サクラマスなどの遡上障害になっていることが分かりました。

我々はこれらの課題を解決することを目的として、河川管理者からの許可を得て、魚道を設置する取り組みを進めています。

(※本サイトでは資源保護のため場所の詳細は明示していません。)

 

 

 

手作り魚道2018

2018年12月

魚類の生息環境保全のため、河川管理者より許可を得て、釧路自然保護協会と地域の町内会や釧路シャケの会の皆さんとの協働で4基の手作りの魚道を設置しました!

 

 

 

 

←斜路型魚道の設計図


特集 イトウ産卵遡上を阻む釧路川落差群

路川流域では1960年から1980年代にかけて、農地の生産性と作業効率の向上のため、国営直轄明渠排水事業が実施されました。流路の直線化により、速くなった流速を緩和させるため落差工が設置されました。これらの落差工群は現在も存在し、イトウ、サケ、サクラマス、アメマスなどの魚類の遡上障害となっています。

NO.1 

 

水面落差160㎝程度

落差工直下の水深は5~10㎝程度しかなく、

イトウ親魚、サクラマス親魚、サケ親魚などほぼすべての魚類にとっての遡上障害になっている。

No.2

 

水面落差100cm程度

イトウ親魚にとっての遡上障害

No.3

 

水面落差100㎝程度

イトウ親魚にとっての遡上障害

No.4

 

水面落差100cm程度

イトウ親魚にとっての遡上障害

No.5(斜路型落差)

 

斜路型落差

水深が5㎝程度と浅い区間が長く(約10m)、

大型のイトウ親魚にとっては遡上するの

が困難。

 

N0.6(斜路型落差)

 

斜路型落差

水深が浅い。

 

No.7(斜路型落差)

 

斜路型落差

水深が浅い。

※参考

(魚道併設遡上可能落差)

同じ川に設置された落差だが、魚道を併設する形で作られた。

 

専門家による調査により、このタイプはイトウも含めてほぼすべての魚種が遡上可能と確認されている。

※参考

(魚道併設遡上可能落差)

 

水面落差100㎝

中央に魚道併設されている。

下流側は魚が泳ぎ上がれるよう河床が深く造られている。

※参考

(落差工上流域の環境)

 

上記落差工群より上流は自然蛇行を繰り返す、

森林帯を流れる河川で河床材料も礫床のため、

イトウ、サクラマスなどの産卵環境として最適。

 

地域住民の話では落差工が設置される以前の1970年代まではイトウが産卵していたそう。

 

上記の落差工群に魚道を設置することにより、イトウの産卵環境が広がり、将来的な資源増加が見込める。

 

釧路川のイトウ復活に向けての課題

 

準備中